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「債権改正法(その7)」 VOL298

 これまでご紹介してきた民法の債権法改正に関する要綱仮案が要綱案となり、さらに「民法を改正する法律案」が本年3月31日に閣議決定され、今国会に提出されています。   
 今回は、法案のうち「保証」に関する主な改正点をご紹介します。保証とは、他人の債務を他人に代わって履行することです。保証する人を保証人、他人を主たる債務者といいます。保証人が主たる債務者と連帯して履行義務を負う場合は連帯保証人です。
 現行民法465条の2は、個人の根保証(一定の範囲に属する不特定の債務を保証すること)のうち、主たる債務が貸金等債務(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)である場合には、契約で極度額(保証金額の上限)を定めるよう求めています。
 法案では、個人根保証の弊害を踏まえ、極度額の要求を、主たる債務が貸金等債務の場合から、すべての債務の場合に拡大することにしています。
 また、法案では、個人による第三者保証の危険性を低減するため、個人保証の主たる債務が事業債務(事業のために負担した貸金等債務)の場合又は個人根保証の主たる債務の範囲に事業債務が含まれる場合には、契約締結日の1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示しなければ保証契約の効力が生じないものとしています。
 上記の公正証書を作成する際には、公証人が保証人となろうとする者の口述を筆記し、これを本人に読み聞かせ又は閲覧させて確認した上、本人と公証人が署名捺印しなければなりません。
 もっとも、第三者ではなく、法人その他の団体の経営者(理事、取締役、執行役その他これらに準じる者)が当該団体の事業債務を保証する場合には弊害が少ないと考えられるので、この場合は公正証書の事前作成は要求されません。
 さらに、法案は、事業債務の個人保証人保護の見地から、個人保証人に対する情報提供義務を定めています。
 まず、保証契約の締結時において、主たる債務者は、保証を委託した個人に対し、①自己の財産及び収支の状況、②他の債務の額及び履行状況並びに③担保として提供するものがあればその内容に関する情報を提供しなければなりません。主たる債務者が情報提供をせず又は事実と異なる説明をした結果、委託を受けた個人が保証契約を締結した場合に、債権者がかかる事実を知り又は知ることができた時は、保証人は保証契約を取り消すことができます。金融機関としては、保証契約締結時において、どこまで主たる債務者の情報提供義務の履行を確認するべきか難しい問題です。
 次に、保証契約締結後、委託を受けた保証人から請求があったときは、債権者は遅滞なく主たる債務について残額、不履行の有無、期限到来等の情報を提供しなければなりません。
 さらに、主たる債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は期限の利益の喪失を知った時から2カ月以内にその旨を保証人に通知しなければなりません。債権者が通知を怠った場合には、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から実際に通知した時までに発生した遅延損害金を請求できなくなります。以上

(2015.07)

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