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「マイナンバー制度(その2)」 VOL305

 既に皆様には「マイナンバー」(個人番号)が通知されたと思います。今後の一生を通じて、この12桁の数字が自分の認識番号という訳です。
 実際、ここ数ヶ月の間に、勤務先や取引先から、マイナンバーの開示を求められる機会が多くなっていると思います。
 マイナンバーは、国民ひとりひとりに通知されるということでしたから、てっきり個人毎に郵送されてくるのかと思っていたら、世帯単位でした。しかし、世帯主であれば、世帯全員の個人番号を知ることができるのですから、制度の開始当初から漏洩リスクがあると指摘されています。
 また、今回送付されてきたのは「個人番号カード」ではなく、個人番号の「通知カード」と「個人番号カード交付申請書兼電子証明書発行申請書」という書式でした。
 通知カードは、個人番号を通知するための書類で、それだけで何かの役に立つ訳ではありません。通知カードは紙製でしたが、個人番号カードはICチップ付きのプラスチック製です。個人番号カードの券面には、マイナンバーの他、個人の氏名、住所、生年月日、性別が記載され、顔写真も貼付されています。
個人番号カードを取得するためには、通知カードに同封されてきた書式を利用して別途申請しなければなりません。申請においては、①郵送、②パソコン、③スマートフォン、④証明写真機により可能です。 
 もとより、個人番号カードの申請は任意ですが、手続が面倒、必要性がない等の理由から、申請率は低迷しており、報道によれば昨年11月末時点で約14%とのことでした。
 総務省は、個人番号カードの普及に努めており、その利便性として、個人番号の証明書類としての利用のほか、各種行政手続のオンライン申請(マイナポータブルへのログイン等)、本人確認の際の公的な身分証明書(金融機関の口座開設、パスポートの発給申請、フィットネスクラブの入会等)、民間のオンライン取引における身分証明書(オンラインバンキング等)、住民票や印鑑証明書の取得等の手段などを掲げています。確かに、個人番号カードを一旦取得すると、様々な場面で便利に利用できるようです。
 しかし、本来、マイナンバーの使途は、社会保障、税、災害対策の範囲に限定されていて、身分証明資料として利用することは禁じられていたはずです。総務省のいう個人番号カードの使途には、いささか違和感があります。
 特に、個人番号カードには重要な個人情報が記載されています。政府は国民ひとりひとりに(勝手に?)個人番号を付与しておいて、個人番号カードの保管については国民の側に委ねているのです。
 しかし、個人番号カードの紛失や盗難から、何らかの犯罪や不法行為が誘発される虞があることは容易に想像できます。個人番号カードの利便性を高めることは、その反面として盗難・紛失リスクも高めることになるのです。個人番号カードの普及は、このような懸念が払拭されるか否かにかかっているように思われます。以上

(2016.02)

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