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「会社法の委員会とは(その2)」VOL309

 前回のご説明をまとめると、会社法上の企業組織には、我が国の大多数の企業が採用している①「監査役(会)設置会社」、従前の委員会設置会社である②「指名委員会等設置会社」及び平成26年改正法で導入された③「監査等委員会設置会社」の3つがあります。
 そして、会社法の委員会とは、上記②の「指名委員会等」か、上記③の「監査等委員会」です。上記①の企業で採用されている委員会は、会社法の委員会ではなく、当該企業が任意に設置した組織です。
 前回ご紹介したセブン&アイ・ホールディングスは上記①の企業ですが、3月に設置した「指名・報酬委員会」において、子会社社長の解任案に賛成が得られず、取締役会でも否決されてしまい、提案した会長と社長の方が退任せざるを得ない事態に至りました。
 また、同じく上記①の企業であるセコムでも、3月に設置した「指名報酬委員会」において、会長と社長の解職が議論され、取締役会で両名の解職が決定されました。
 両社の委員会の活動については、既に様々な報道がなされていますが、いずれにしても、上記①の企業で設置されている委員会は会社法の委員会ではありません。委員会が何かを決定しても、その決定に法的効力はなく、改めて取締役会により決定される必要があります。とはいえ、委員会の議論が取締役会に伝われば、取締役会の決定に影響を及ぼすと思われます。
 ところで、最近、上記①の企業において任意の委員会が設置されているのは、上場企業に適用されるコーポレートガバナンス・コード(CGC)に対応するためと言われています。
 CGCとは、平成27年6月1日から上場企業に対して適用されている上場規程のことです。金融庁と東京証券取引所が共同事務局となって設置した有識者会議において同年3月に原案が策定され、それをベースとして各証券取引所が規程を整備し、CGCとして施行されることになりました。上場企業はCGCの各原則に対してコンプライ・オア・エクスプレイン(遵守するか説明する)義務を負うことになります。
 CGC原則4-10は「上場会社は、会社法が定める会社の機関設計のうち会社の特性に応じて最も適切な形態を採用するに当たり、必要に応じて任意の仕組みを活用することにより、統治機能のさらなる充実を図るべきである」と規定し、任意組織の活用を推奨しています。
 これを受けて、CGC補充原則4-10①は「上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には…例えば、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会を設置することなどにより、指名・報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきである」と規定しています。
 つまり、CGCは、取締役の指名や報酬の決定に関し、社外取締役を主要な構成員とする諮問委員会の設置・関与・助言を求めているのです。以上

(2016.06)

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