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『弁護士費用保険』

 皆様は「弁護士費用保険」をご存知でしょうか。「権利保護保険」とも呼ばれていますが、保険契約者や被保険者が支出した弁護士報酬を填補してくれる保険のことです。日本弁護士連合会は保険会社と協定を結び弁護士費用保険の普及・拡大に努めています。
 現在、最も広く利用されているのは交通事故によって損害を被った被害者が加害者に対して損害賠償を請求する際の弁護士費用を補填する保険です。
 多くの自動車保険の特約として付帯されているので、契約時点では意識されていないと思いますが、いざという時、大変役立つ保険といえます。弁護士費用保険が付帯される以前は、数万円から数十万円の物損事故の場合、被害者が弁護士費用をかけて裁判をすると持ち出しになってしまうため、請求自体を断念するケースがしばしばみられました。
 しかし、交通事故における弁護士費用保険の普及により、少額物損事故でも弁護士の援助を得て被害救済を受けることが可能となりました。
 そのため、簡易裁判所の交通事故損害賠償請求事件(訴額140万円以下)の新受件数が増加しています。2004年度に1万980件だった新受件数が2017年度には3万8716件と約3倍になっています。増加傾向は地方裁判所の物損事故の損賠賠償請求事件の新受件数でもみられます。
 他方で、地方裁判所と簡易裁判所の人身事故の損害賠償請求事件の新受件数は年々減少しており、2004年度に合計95万2720件であった事件数が2017年度には合計47万2165件に減少しているのです。わが国の交通事故数と死傷者数がいずれも減少傾向にあることが原因と言われています。
 最近では、交通事故の加害者になってしまったときに刑事事件の刑事弁護費用を補填する保険も販売されています。交通事故の場合、状況によっては加害者にも被害者にもなり得ますから、このような保険のニーズもあると思います。
 また、自動車保険以外でも、火災保険、旅行保険、個人賠償保険等に弁護士費用保険が付帯していることが多くなりました。
 事件別でみると、通常の損害賠償請求事件のみならず労働事件、医療過誤事件、家事事件、業務妨害事件等様々の分野で弁護士費用保険が利用されています。
 ところで、弁護士費用保険の利用者は保険契約者や被保険者だけでなく、弁護士報酬を受領する弁護士も含まれます。
 弁護士にとっては、弁護士費用保険を利用することで、弁護士報酬の回収の手間が省け、活動分野が広がるといったメリットがあります。
 しかし、保険会社が設定している報酬基準が低すぎるという不満の声も聞こえます。これからも拡大・発展が見込まれる分野なので、各当事者が譲歩する必要がありそうです。以上
 

(2019.11)

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