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『2020年の課題』

 2020(令和2)年を迎え、皆様のご健康とご多幸を祈念致します。
 令和元年はあっという間に過ぎ去り、令和2年となりました。今年7月からはいよいよ東京オリンピック・パラリンピック(以下「オリンピック」)が開催されます。
 昨年のラグビー・ワールドカップでは、日本全体がワン・チームとなった高揚感がありました。オリンピックでもより一層の盛り上がりを期待したいですね。
 したがって、今年の課題としては、やはりオリンピックだと思います。
 オリンピックの準備は着々と進んでいますが、開催期間中の天変地異が懸念されます。毎年夏から秋にかけて大型台風や集中豪雨による水害が発生していますし、首都直下型地震のリスクがなくなった訳でもありません。
 万一の場合、被災者生活再建支援法に基づく各種の支援サービスが整備されています。また、総合法律支援法に基づく法テラス(日本司法支援センター)による無料法律相談等も実施されます。
 もっとも、これらは概ね事後的な支援サービスなので、緊急時には、防災情報に基づく自助と、住民相互の共助で対応するしかありません。正確な防災情報伝達のため、国土交通省は「防災ポータル」、東京都は「防災ホームページ」というサイトを運営しています。オリンピック観戦のために上京した方々や来日外国人も当然共助と支援の対象です。
 さらに、オリンピック閉幕後の景気後退も懸念されます。
 前回のオリンピックでは、開催された1964年10月をピークとして景気が急速に落ち込み、翌年の証券不況へと繋がりました。当時の政府は日銀特融と赤字国債発行で乗り切りましたが、今回も同じ手法で対応できるか心配です。
 今年の課題としてもう一つ挙げるとすると、5Gが到来する時に地味な話題で恐縮ですが、民事裁判手続のIT化を挙げたいと思います。
 内閣官房に設置された検討会が、昨年3月に取りまとめた民事裁判手続のIT化の第一段階が、今年2月から、いくつかの裁判所で開始されます。
 また、検討会の議論を引き継いで組織された研究会が、昨年12月に取りまとめた報告書を踏まえ、今年4月以降、法制審議会での議論が始まる予定です。
 将来の新しい法制度の下では、民事裁判手続の全ての参加者にIT利用が義務付けられます。諸外国の民事裁判手続でIT利用が強制されているのはシンガポール位ですが、わが国は民事裁判手続のIT化を一気に進める目論見なのです。
 とはいえ、IT利用の強制は裁判を受ける権利の制約という面もあります。また、弁護士を含めて高齢者ほどIT利用に抵抗感を示していることも事実です。今後とも紆余曲折がありそうで、法曹実務家としては目が離せないところです。以上
 

(2020.01)

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