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『改正民法の要点(1)』

 新型コロナウイルスの感染拡大に目を奪われていましたが、実は、今年4月1日から改正民法が施行されています。
 民法の制定から120年以上経過し、その間の社会・経済の変化に対応する規定をつくるため、特に債権関係を中心として民法が大改正されたのです。
 以前、このコーナーでも民法の改正案をご紹介したことがありますが、改正法が施行されたことから、改めてその要点についてご紹介したいと思います。
 まず、今回から数回にわたり「保証」の改正についてご説明します。
 そもそも「保証」とは、主たる債務者が債務を支払わない場合に、主たる債務者に代わって債務を支払う義務を意味します。そして、保証債務を負担している者を「保証人」と呼びます。
 保証には、契約時に特定している債務を保証する場合(例えば住宅ローンの保証)と、将来発生する不特定の債務を保証する場合(例えば継続的な事業用融資の保証)があります。後者を特に「根保証」と呼びます。
 「根保証」については、かつて商工ローンの根保証人に対する債権取り立てが社会問題化したことから、平成16年に改正された民法において、貸金等債務を根保証した法人を除く「個人」を保護する規定が設けられました。
 具体的には、貸金等債務の、①極度額の定めのない根保証は無効とすること(旧465条2項)、②元本確定期日までの期間を原則3年(最長5年)とすること(同条3項)及び③元本確定期日の到来前であっても、保証人や主たる債務者の死亡・破産等の特別事由が発生した場合はその時点で元本確定(その時点までの貸金だけを支払う義務を負う。)とすること(同条4項)などでした。
 しかし、貸金等債務以外の根保証についても「個人」が想定外の多額の保証債務を負う場合がありえます。例えば、不動産の賃借人が賃貸借契約に基づいて負担する一切の債務を保証する場合、取引先企業に対する損害賠償債務や取引債務等を債務者企業の代表者が根保証する場合、介護・医療等の施設への入居者の負う各種債務を根保証する場合等においても、根保証契約締結時点では想定できなかった額の負債が発生する事態がありえます。
 そこで、改正法は、すべての個人根保証契約に極度額を義務付けることにしました(新465条の2第2項)。不動産の賃貸借や入院・入居の実務では、極度額をいくらと定めればよいか色々と議論されています。
 また、主たる債務者の死亡や保証人の破産・死亡などの特別事由が発生したときも、個人根保証の元本が確定することとしました(同条の4第1項)。
 ただし、主たる債務者が破産等した場合には、貸金等根保証契約以外の個人根保証契約の元本は確定しません(同条の4第2項第2号)。
 このように、貸金等根保証契約に関する従来の規律のうち、他の個人根保証契約には適用されないものがあります。例えば、貸金等債務以外の根保証契約には元本確定期日がありません(同条の3)。賃貸借契約の根保証契約等において最長でも5年経過すると保証人が存在しなくなるといった不都合を避けるためです。以上
 

(2020.07)

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