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『2021年の課題』

 2021(令和3)年を迎え、皆様のご健康とご多幸を祈念致します。
 昨年は新型コロナに始まり新型コロナに暮れました。国家プロジェクトであった東京オリンピック・パラリンピックは今夏に順延されましたが、既に開催が危ぶまれています。もとより、今年の課題とは、せっかく準備した東京オリ・パラの実現であり、そのためには新型コロナ感染の完全抑え込みが必須であることは論を待ちません。
 ところが、昨年政府がGo Toキャンペーン等の経済振興策に拘り、ウイルス対策を疎かにしているうちに、新型コロナ感染が全国的に拡大してしまいました。12月になってようやく同キャンペーンを一時停止したものの、毎日3000人以上の新規感染者が報告されています。
 国民の間に、あわてて提唱されたコロナ対策を軽視する風潮や、ウイルス感染は避けられないといったしらけムードが広がっているのも、やむを得ないところです。
 しかし、年末年始にかけて医療現場のひっ迫感が強まっている上、外国から感染力の強い変異種の流入も確認されています。菅総理は、昨年12月、感染症対策として飲食店の営業時間短縮が効果的なので、新型インフルエンザ等対策特別措置法(「特措法」)を改正し、給付金と罰則をセットにして、飲食店の営業時間短縮を目指すと表明しました。
 特措法は新型インフルエンザ等の新感染症への対策を強化するために平成24年5月に公布されたものです。昨年3月に新型コロナウイルス感染症を対象とするよう改正されました。同法32条に基づき、昨年4月に緊急事態宣言が発令されたのです。
 しかし、現行法では緊急事態宣言後でも欧米のような罰則付きの都市ロックダウンはできません。同法45条に基づき、都道府県知事が外出自粛要請、施設の利用制限の要請・指示・公表等ができる程度です。そこで、知事の権限を強化するため、新年早々の通常国会で罰則規定を創設することにしたいとのことです。
 確かに、感染症対策のために知事の権限強化は必要と思われます。しかし、罰則規定の導入となると、拡大したコロナ禍の責任を、零細な飲食業者だけに押し付けることになりかねず、直ちに賛同するべきか躊躇せざるを得ません。行政処分位で十分効果が出るように思います。
 また、残り7カ月余に迫った東京オリ・パラを実現するためには、相当思い切った政策転換が必要であり、この程度の小手先対応で十分とも思えません。
 感染拡大を抑えた4月の緊急事態宣言は、特措法に基づき、大きな混乱もなく、整然と実行されました。経済的ダメージが大きかったと言われていますが、日銀とGPIFが国内株式を買い支えているので株価は戻り、上昇を続けています。
 そこで、短期的にでも地域的にでも、緊急事態宣言を再度発令し、新型コロナの感染拡大を抑え込むという方法が考えられます。もちろん、東京オリ・パラ後も見据えた各種のセーフティ・ネットを充実・拡大することも不可欠です。以上
 
 

(2021.01)

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