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『2022年の課題』

 2022(令和4)年を迎え、皆様のご健康とご多幸を祈念致します。
 ようやく新型コロナの感染を抑え込めたと思っていたところ、諸外国では昨年末ころからオミクロン株が大流行し、わが国で感染拡大するのも時間の問題と言われています。
 政府はオミクロン株対策として、帰国した人々に対し、滞在していた国や地域の感染状況に応じて、待機施設で3日~10日間留まってもらう停留措置をとってきましたが、さらに、オミクロン株の濃厚接触者に14日間の停留措置をとることにしました。
 ところが、東京都の場合、濃厚接触者の約6割が施設に入っておらず、神奈川県でも、県内の濃厚接触者数が、確保された施設数をはるかに上回っていると報道されています。
 諸外国では、感染拡大を防ぐため、刑罰によって国民の移動や営業活動に厳しい規制を課しています。他方で、わが国では、一部の例外を除き、対象者の自主規制という立て付けの下で、行政罰や氏名公表等に留めています。しかし、自主規制方式にも限界があり、昨年の特措法改正の際に問題になった「私権の制限」が今年も改めて議論になりそうです。
 憲法22条第1項は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定めています。職業選択の自由には、選択した職業(営業を含む)を遂行する自由も含まれます。
 移動や営業の自由を「公共の福祉」を理由として規制する場合は、①規制目的と②規制手段の二つの観点から審査されます。新型コロナの蔓延を防ぐという目的の重要度は極めて高いと理解できますので、問題は、目的を実現するために合理的で必要不可欠の手段と言えるかどうかです。例えば、人が密の状態で集まっても、観客がほとんど会話しないクラシック・コンサートの開催や、黙って球を打つだけのパチンコ店の営業をどこまで規制するべきかが論点となります。
 規制とセットで議論されているのが営業補償です。憲法29条第3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」と定めています。正当な補償とは、私人に課される「特別の犠牲」の償いと理解されており、具体的には、当該制限が①一般的か一部の者に対するものか、②本質的に強度なものか、という二つの観点から審査されます。例えば、飲食店や百貨店に対する営業制限が必要だとして、どこまで時間短縮や人数制限を求めると補償が必要になるのかという問題となります。
 今年の課題としてもうひとつ挙げたいのは、企業や団体の不祥事問題です。昨年は某大学の理事長が逮捕されるなど様々な不祥事が発生しました。それが今年一切無くなるとは期待できません。
 不祥事が発覚するたびに企業や団体に「第三者委員会」が立ち上げられ、調査や報告が行われています。しかし、近年、第三者委員会に対する批判も聞かれるようになりました。不祥事に対応する組織の在り方を改めて検討する時期に来ていると思います。以上
 

(2022.01)

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