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『改正民法の要点(24)』

 5月は概ね晴天に恵まれ、多くの外国人観光客が来日しましたが、下旬には雨が続き、29日までに四国・近畿・東海地方で梅雨入りしました。同時に大型の台風2号が接近してきており、風水害や土砂災害が懸念されます。
 さて、今回も今年4月から施行されている改正民法のうち「相続」に関係する部分について引き続きご説明します。
 今般の民法改正は所有者不明土地対策が主要な目的ですが、所有者不明土地の多くは共有地です。そして、共有地には通常の共有地(例えば一つの土地を複数人で購入した場合)と遺産の共有地(例えば一つの土地を複数人で相続した場合)があり、所有者不明土地の多くは、遺産共有地か、以前は通常共有であった土地の共有者の一部に相続が生じた一部遺産共有地であるといわれています。
 通常共有地の分割は地方裁判所の共有物分割請求訴訟で審理されますが(民法258条)、遺産共有地の分割は地裁ではなく家庭裁判所の遺産分割調停・審判で審理されます(民法258条の2、906条以下)。
 家裁の遺産分割調停・審判では各相続人の「具体的相続分」が検討されます。すなわち「法定相続分」(民法900条)や「指定相続分」(民法902条)だけでなく、個別具体的な事情である特別受益分(民法903条、904条)や寄与分(民法904条の2)を踏まえて審理される点に特徴があります。
 しかしながら、今回の改正法により、被相続人が死亡してから10年経過後におこなわれる遺産共有地分割は、手続き促進の観点から、原則として、具体的相続分ではなく、法定相続分又は指定相続分により行われることになりました(民法904条の3)。
 ただし、この場合も遺産分割ではあるので、手続き自体は家裁の遺産分割調停・審判で行われます。
 しかしながら、一部遺産共有地の場合通常共有部分と遺産共有部分が併存するので、通常共有部分の分割は地裁の共有物分割請求訴訟で、遺産共有部分の分割は家裁の遺産分割調停・審判で、それぞれ別個に行われることになります。しかし、これでは時間と手間がかかり過ぎ問題解決に支障をきたします。
 他方で、上記のとおり、今後は相続開始から10年経過した遺産分割では具体的相続分を考慮する必要はなくなります。
 そこで、改正民法は、一部遺産共有地における問題解決を促進する観点から、相続開始から10年経過したときは遺産共有部分の遺産分割も地裁の共有物分割請求訴訟で実施できることにしました(民法258条の2第2項、第3項)。ただし、被告である相続人から訴状送達後2カ月以内に異議の申し出があると行うことはできません。以上
 

(2023.06)

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