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『成年後見制度の現状(5)』

 今年の東京都の2月は20度を超える日があるかと思うと5度を超えない日もあり、日々の気温差が著しいです。また、どういうわけか、拙宅では妻が庭に植えたレモンの木が豊作で、たくさんの黄色い実をつけています。素人栽培なので皮はやや厚目ですが、カキフライなどの時は重宝しています。ご近所でもレモンやキンカン等の柑橘類が今年は豊作の ようで、これも温暖化の影響なのかと考えています。
 さて、今回は「成年後見制度」の利用状況や制度の在り方について、改めてご説明したいと思います。
 まず、成年後見制度(成年後見、保佐、補助及び任意後見)の利用状況ですが、平成30年から令和4年までの5年間の統計によると、平成30年12月末時点で合計21万8142件でしたが、年々増え続け、令和4年12月末時点では24万5087件となっています。
 内訳としては、やはり成年後見の利用数が一番多く、平成30年12月末時点で16万9583件、令和4年12月末時点では17万8316件でした。これに対して、一番利用数が少ないのは任意後見で、平成30年12月末時点で2611件、令和4年12月末時点でも2739件でした。現状において、任意後見の利用は一部の富裕層に限られているからだと思います。
 しかし「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(九州大学二宮教授)によると、2025年度における認知症の有病者数は約675~730万人に上る(糖尿病有病率により変動)と推計されています。そこで、これまで以上に成年後見制度の利用促進が必要になると考えられているのです。
 この点、厚労省では、第二期成年後見制度利用促進計画を策定しています。そこでは基本的な考え方として「地域共生社会」の実現に向けて「権利擁護支援」を推進すると提唱されています。
 ここで「地域共生社会」とは「制度・分野の枠や支える側と支えられる側という従来の関係を超えて、住み慣れた地域において、人と人、人と社会がつながり、すべての住民が、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、社会全体で支え合いながら、ともに地域を創っていくこと」を目指す社会とのことです。
 今一つ分かりにくい説明ですが、このような地域共生社会の実現に向けて推進されるという「権利擁護支援」とは、本人を中心にした支援活動における共通基盤と位置付けられていて、現在様々に分立している各種の支援ネットワーク(高齢者支援、子ども支援、障がい者支援、生活困窮者支援、地域社会の見守り等)を、地域ごとに連携させる取組みを意味するそうです。縦割りになっている各種の支援制度を地域ごとに再編成する、重複や無駄を省いて集中・簡素化していく、というイメージなのかもしれません。以上
 

(2024.03)

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