トピックス

『成年後見制度の現状(6)』

 東京では当初の予報とは大分違い、4月に入って例年の時期に桜が咲き、その後は寒暖の繰り返しが続いています。
 さて、今回は、成年後見人の業務を、その内容毎にご説明したいと思います。
 成年後見人の業務には、大別すると、①身上監護、②財産管理及び③家庭裁判所への報告の3つがあります。
 まず、①身上監護とは、本人の生活や健康の維持、療養に関する仕事のことです。例えば、本人の住居の確保、生活環境の整備、施設に入所する契約の締結、治療や入退院の手続などです。
 この際、成年後見人は、本人や申立人と面談して本人の状態(認知症や障害の有無等)を把握し、必要に応じて関係者と協力しながら、本人の生活を支援する体制を整えます。ただし、ここには日常的な食事の世話や実際の介護などは含まれません。
 また、医療同意も原則として含まれません。例外として、予防接種は後見人も同意することができ、身体拘束についても一定の要件をチエックしたうえで同意することがあります。
 次に、②財産管理とは、本人の財産内容を正確に把握して財産目録を作り、本人の財産が保たれるように管理することです。 例えば、本人の預金通帳や保険証書などを保管し、年金や保険金などの収入を受け取り、本人に必要な経費の支払いを行い、それらを帳簿につけて管理を行うわけです。
 この際、成年後見人は金融機関や保険会社に口座の有無や残高を確認します。また、介護保険、健康保険、医療保険、年金等の支出や受給状態を確認・確保しなければなりません。
 さらに、成年後見人は、本人のために必要な費用(生活費、入院費、施設費、税金、社会保険料など)を本人の財産から支出することができます。成年後見人は、あらかじめ、収入と支出の予定(後見予算)を立て、後見予算に従った支出をする必要があると言われています。
 ③家庭裁判所への報告には年1回の定期報告と随時行う臨時報告があります。
 定期報告では、後見等事務報告書、財産目録、添付書類(通帳のページの写しなど)その他家裁から求められた書類を提出します。また、この際、本人の財産から報酬を受け取るため、報酬付与申立書と報酬付与申立事情説明書を提出して審判を得ることになります。
 臨時報告は、本人若しくは成年後見人が転居又は死亡した場合、大きな財産を処分する場合、遺産分割や相続放棄をする場合その他家裁と相談又は協議したいことがある場合に、成年後見人の方針や意見を連絡票に記載して郵送又はファックスで家裁に送付します。2週間以内に家裁から連絡がなければ成年後見人が示した方針や意見のとおりに進めてよいことになります。以上
 

(2024.05)

インデックス

このページの先頭へ