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『民事裁判のデジタル化(2)』

 4月の東京は気温が上がり、早くも夏日が出現しています。拙宅のクーラーのスイッチを入れてみたら突然異音がしたので、やむなく買い替えました。15年位使っていたので仕方ありませんが、同じ期間酷使してきた自分の頭と体は買い替えが効かず、メンテナンスしながら大事に使うしかありません。
 さて、民事訴訟手続の全面的なデジタル化が5月21日から施行されます。
 デジタル化の施行後は、訴状や控訴状等も含めた全ての裁判用書面がオンラインにより提出可能となります。また、裁判所の事件記録が全てデジタル化されるので、訴訟当事者はWEBを経由して、どこからでも事件記録にアクセスできます。
 WEB裁判の普及により、弁護士が民事裁判手続のために裁判所に出頭する機会は極めて少なくなりました。
 他方で、裁判官は事件記録が保管されている裁判所に日々出勤して執務しています。しかし、裁判官もWEBを利用すれば裁判所外から執務することは可能です。そこで、最高裁は令和6年12月から、さいたま地家裁秩父支部と神戸地家裁柏原支部において、令和7年7月からはこれらに加えて15か所の裁判所支部において、裁判官が当該支部以外の場所からWEBを利用して当該支部の裁判を担当することを可能としました。最高裁はこれを「機動的審理運営」と呼んでいます。
 現在、裁判官が常勤していない裁判所支部が全国に44か所あります。このような非常駐支部では、本庁や他の支部に所属する裁判官が、1週間か1か月に数回程度の頻度で当該支部に移動して当該支部の事件を処理しています(「填補(てんぽ)」といいます。)。
 しかし、填補のための移動に時間がかかること、填補日数が少なく裁判期日が入りづらいことなどから、非常駐支部における民事裁判手続の効率性と迅速性に問題が生じていました。
 最高裁は、これまで上記17支部に限って「機動的審理運営」を実施してきましたが、デジタル化により裁判官はどこからでも事件記録にアクセスできようになるため、デジタル化施行後は、必要とする全ての裁判所において機動的審理運営を実施するという方針を明らかにしています。
 確かに、機動的審理運営により、非常駐支部における民事裁判手続の効率性や迅速性をかなり解決できるのではないかと期待されています。
 他方で、機動的審理運営と引き換えに非常駐支部の填補日数を減らされたり、常駐支部の非常駐化が進められたりする懸念があります。
 将来、裁判官は東京や大阪等の大都市にのみ常駐し、WEBを利用して全国津々浦々の民事裁判手続を担当する時代が来るかもしれません。地方の利用者がそれで納得すればよいのですが。以上
 

(2026.05)

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