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「マイナンバー制度(その4)」 VOL307

 今回は、個人番号(マイナンバー)とともに導入された「法人番号」について検討してみたいと思います。
 法人番号とは①国の機関、②地方公共団体、③会社法その他の法令の規定により設立登記をした法人、④①~③以外の法人又は人格のない社団等であって法人税・消費税の申告義務又は給与等にかかる所得税の源泉徴収義務を有することになる団体に対し、国税庁長官が団体を識別するため付与・告知している番号のことです(マイナンバー法2条15項)。
 法人番号は1法人に1つ付与され、支店や事業所には付与されません。また、個人事業者、民法上の組合、匿名組合、投資事業有限責任組合等は法人でないため付与されません。
 法人番号制度が導入された理由として「行政の効率化」、「国民の利便性の向上」「公正・公平な社会の実現」及び「新たな価値の創出」が挙げられています。基本的には個人番号制度と同じですが、最後の「新たな価値の創出」は法人番号制度にだけ加えられたものです。
 法人番号と個人番号を比較してみるとまず、個人番号は12ケタ、法人番号は13ケタです。
 法人番号においては、個人番号カードや通知カードに相当するカードは発行されません。法人番号の通知は、国税庁長官名義の法人番号指定通知書によって、マイナンバー法施行日(平成27年10月5日)に設立登記がある法人等に対しては同年10月~11月の間におこなわれました。施行日以降に設立された法人等については、設立後1週間位で上記通知書が発送されることになっています。 
 個人番号は厳格に管理・保護されますが、法人番号は「国税庁法人番号公表サイト」において公表されています。公表されるのは、法人番号の指定を受けた団体の①商号又は名称、②本店又は主たる事務所の所在地、③法人番号です(基本3情報)。これらが変更された場合は、更新情報も公表されます。
 なお、法人番号を付与される人格のない社団等については「法人番号の公表同意書」を提出することになっており、同意書を提出しない限り、当該団体の基本3情報は上記サイトに掲載されません。
 さらに、個人番号の利用範囲は社会保障、税、災害対策に限定されますが、法人番号には特段制限がなく、自由に利活用できます。法人番号制度の導入理由に「新たな価値の創出」が加えられているのはこのためです。
 例えば、法人番号を利用して事業所や部門毎に管理していた顧客法人情報を集約化することができます。また、上記ネットから新規に法人番号を取得した法人情報を取得し、新規営業先として開拓することもあり得るでしょう。
 この点、政府は、法人番号の利活用を進める見地から、平成26年6月に、行政機関、独立行政法人、地方公共団体等に対し「公開情報への法人番号の併記」を求めています。
 また、平成27年3月には「法人番号を併記するにあたっての考え方」を示し、法人情報自体の公表を主目的としているか否かの観点から、法人番号併記へのニーズが「高い」と思われるケースと「低い」と思われるケースを分類しています。「高い」ケースには調達、許認可、決算、調査・研究、審判、合併等が、「低い」ケースには主共催、講演、連絡先等が挙げられており、民間でも参考になると思います。以上

(2016.04)

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