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『弁護士任官について(2)』
4月に入り、新型コロナウイルスの新規感染者数は、地域ごとにばらつきがあるものの、概ね減少傾向となりました。全国各地の観光地では、ようやく人出が増えると期待しているようです。
16日には、以前ご紹介した日本弁護士連合会(日弁連)の弁護士任官ブロック大会が、九州の熊本市で開催されました。平成28年に震災が発生してから丁度6年目を迎える日と重なりましたが、今年は「花とみどりの博覧会」が開催中で、街の大通りでは沢山の種類の花が飾られていました。また、23日から開催された「アジア・太平洋水サミット」の準備も進んでおり、明るい雰囲気が演出されていました。
以前ご説明したとおり、弁護士任官とは、弁護士から裁判官(判事・判事補)になる制度です。現在はキャリア・システムといって、裁判官のほとんどは、司法修習生から判事補を経てそのまま判事に就任した方々です。
しかし、理想としては、社会の実相に深い知識と経験をもった方が裁判官になるべきですから、弁護士から裁判官に就任するルートも設けられています。日弁連が全国各地でブロック大会を開催しているのも、弁護士任官を広報し、希望者を発掘するためなのです。
今回のブロック大会のゲストスピーカーである那覇家庭裁判所の藤田光代所長や、会場参加された熊本地方裁判所の片山昭人所長は、いずれも弁護士任官者でした。
もっとも、当事者の代理人である弁護士と、中立的な裁定者である裁判官とでは、仕事の中身が相当異なります。
そこで、弁護士任官希望者の助走期間として、週に1回程度、調停における裁判官の仕事を担当する「非常勤裁判官」という制度が導入されています。非常勤裁判官には、民事事件を担当する民事調停官と家事事件を担当する家事調停官があり、各地の裁判所で勤務しています。
ただし、現在、非常勤裁判官制度が実施されているのは、東京・大阪とその周辺地域並びに各地の高裁所在地に限られています。
今回のブロック大会の開催地である熊本県内では非常勤裁判官制度が実施されていません。そのため、地元の多数の弁護士から実施の要望が出されていました。確かに熊本簡裁・家裁の事件数にしろ、制度を支える地元の弁護士数にしろ、既に非常勤裁判官が実施されている一部の地方とそん色ありません。
しかし、非常勤裁判官の総人数枠は120名と決まっているところ、現在、既に120名の上限に至っているので、さらなる増員を実現するためには、新たな予算措置を講ずる必要があると言われています。そのため、120名の上限に到達してからは、他の裁判所の定数を削って、事件数が増えている裁判所の定員を増やすようなやり繰りが行われてきました。ただ、近年は、弁護士任官者希望者がなかなか増えない状況ですので、できるだけ多くの地域で実施してもらいたいところです。以上
(2022.05)