トピックス

『第三者委員会(1)』

 2025年に入りました。1月は東京でも寒い日々が続き、インフルエンザやコロナに罹患する方が急増しました。
 ところで、昨年末頃から週刊誌が報道していた著名芸能人のスキャンダルを発端として、フジテレビのコンプライアンス体制が厳しく批判される事態になりました。10時間を超える嵐のような記者会見がテレビ中継され、そのなかで会長と社長の辞任と「第三者委員会」の設置が報告されました。
 そこで、今回から数回にわたり、この「第三者委員会」についてご説明しようと思います。
 そもそも「第三者委員会」とは、不祥事を発生させた企業団体がその社会的信用を回復させるために組織する調査委員会のことです。この委員会は不祥事の内容と原因を調査するだけでなく、再発防止策まで提言するのが一般的です。
 もっとも「第三者委員会」とは、わが国の法令に規定されている組織ではなく、諸外国にも特段の例はありません。あくまで企業団体が任意に設置する組織なので、多様なメンバー構成があり得ますし、調査手法や範囲も様々です。
 そこで、日本弁護士連合会(日弁連)は「第三者委員会ガイドライン」を策定し「第三者委員会」の信用性を維持するために一定のルール化を試みています。例えば、当該企業団体から独立した委員で委員会を組織しなければならない、委員会は中立的な調査を行い、独立した提言を作成公表しなければならない、といった内容です。
 要するに、世の中の「第三者委員会」と称する組織には、日弁連のガイドラインに準拠しているものもあれば、必ずしも同ガイドラインに準拠していないものもあるのです。
 さらに「第三者委員会」とは異なり、当該企業団体の役員や顧問弁護士等が委員に就任する調査委員会も存在します。いわゆる「内部調査委員会」と称する組織です。
 フジテレビは、最初の記者会見において「外部弁護士を中心とする調査委員会の立ち上げ」と説明していましたので、内部調査委員会型か日弁連のガイドラインには準拠しない第三者委員会型の組織を志向していたように思われます。
 しかし、同社のコンプライアンス体制を批判する声に押される形で、同社は二度目の記者会見において日弁連のガイドラインに基づく「第三者委員会」の設置に舵を切りました。
 しかし、それはあくまで同社限りで組織する任意団体に過ぎません。強制的な捜査権限を有しているわけではないのです。また、当該芸能人と被害者の間には相互に守秘義務が課されているとも聞いています。したがって、同社の「第三者委員会」が不祥事の内容をどこまで調査できるのかは判然としません。
 さらに「第三者委員会」による調査には通常数か月程度かかります。1月末に組織された同社の「第三者委員会」の提言書の期限は3月末とのことですから、かなりハード・スケジュールになるようです。以上
 

(2025.02)

インデックス

このページの先頭へ