トピックス

『第三者委員会(10)』

 1月の東京都は概ね晴天に恵まれ、神社・仏閣に初詣した方も多かったと思います。他方で、北海道、東北、北陸等では大雪、九州や関東では山火事と、各地で災害が発生しました。
 さて、昨年6月20日、日本テレビ(以下「N社」)の社長が突然記者会見し、某芸能人(以下「K氏」)について、レギュラー番組から降板すること及びK氏には過去にコンプライアンス上の問題行為が複数あったことを説明しました。K氏を呼び出して事情聴取したところ、K氏がコンプライアンス違反行為を認めたため、K氏の降板を決定したとのことでした。
 N社は臨時取締役会を開催してK氏の降板を決定したそうなので、この問題を会社の「重要な業務執行」(会社法362条4項)と位置付けて、慎重に対応したことが伺われます。
 また、N社では外部委員を招いてガバナンス評価委員会という組織を立ち上げ、同委員会の7月25日付け中間とりまとめ及び9月17日付け意見書により、N社の一連の対応は、手続きを含めて適切であるとのお墨付きを得たとも報告しています。要するに、N社はフジテレビ(以下「F社」)の某芸能人(以下「N氏」)事件の轍を踏まないよう、着々と態勢を固めていた訳です。
 ただし、公開されたN社のガバナンス評価委員会の意見書を読む限り、その調査範囲はN社の関係者に限られていて、どのような証拠に基づいて事実を認定したのかも明確ではなく、わずか5回の会議で中間とりまとめを行ったことなどから、この委員会と、F社がN氏事件のために設置した第三者委員会とは、かなり様子が異なるように思われます。
 これに対してK氏側は、10月23日、K氏の代理人が記者会見を開き、K氏にハラスメント行為があったことは認めた上で、N社からは降板理由の説明がなく「答え合わせ」ができない、N社の聞き取り手続には瑕疵があった等という理由で、日本弁護士連合会(以下「日弁連」)に人権救済の申立をしたことを公表しました。N社や委員会の委員に対する訴訟提起ではなく、日弁連への人権救済申立とは、なかなか工夫された戦術かと思いました。
 さらに、K氏側は、11月26日、K氏本人の記者会見を開催しました。その場においてK氏は、自ら謝罪を表明すると共に「答え合わせ」と手続の瑕疵について改めて主張を展開しました。
 本人が記者会見で謝罪したり、日弁連に人権救済の申立をしたりと、K氏側の積極的な対応が目につきます。K氏側は早期の社会的復権を目指しているように思われます。
 ただし、昨年末12月25日に至り、K氏側は日弁連の人権擁護委員会から申立を取り扱うことはできないという通知を受け取ったとのことです。K氏側の次の一手が注目されます。以上
 

(2026.02)

インデックス

このページの先頭へ