トピックス
『第三者委員会(11)』
妻が玄関脇に植えたレモンの木に実が7、8個ほど成り、我が家の食卓で重宝しています。妻の成功(?)の影響なのかどうかはともかく、ご近所様でもレモン、ゆず、キンカン等を植えるようになり、2月になると、拙宅の玄関前の道路沿いで黄色い実をたくさん見かけるようになりました。
さて、前回ご紹介した日本テレビ(以下「N社」)による某芸能人(以下「K氏」)に対するテレビ番組降板処分では、N社側がガバナンス評価委員会の適切意見という防御方法を施していたのに対し、K氏側は本人の記者会見や、日本弁護士連合会(以下「日弁連」)に対する人権救済申立と、様々な手段で対抗していました。
しかし、報道によると、K氏がN社の社長に直接面談して謝罪したそうなので、手打ち(和解)となったようです。
N社とK氏の事件は、フジテレビ(以下「F社」)と某芸能人(以下「N氏」)の事件に比べて、K氏側の攻勢が目に着きました。もっとも、N氏はF社からの損害賠償請求を警戒して慎重な姿勢を採っていたと考えられます。他方で、K氏は早期の社会復帰を目指して積極的に活動していたように見えました。
ところで、今回K氏が採用した日弁連への人権救済申立ですが、K氏はN社の社長に対して今後同種の申し立てはしないと伝えたそうです。
人権救済申立がN社に対してどのような影響があったのかは分かりませんが、日弁連や各地の弁護士会には人権救済申立を受け付けて調査をする「人権擁護委員会」という組織があります。同委員会の調査により人権侵害が認められると、母体である日弁連や弁護士会が相手方に対して警告・勧告・要望等という処置をとります。
誰でも申し立てることができ、申立費用は無料です。訴訟のように厳格な立証責任もなく、同委員会が独自に調査をして結果をまとめて処置を決めます。申立人にとって便利で優しい救済手続です。
ただし、日弁連や弁護士会という私的団体の処置なので、相手方に対する強制力はありません。しかし、日弁連や弁護士会から人権侵害と認定されると相手方の社会的評価が傷つくので、相手方による人権侵害が止まったり撤回されたりする事実上の効果はあるようです。
もっとも、従前、日弁連や弁護士会の人権救済手続は、相手方が公権力の場合に利用され、私人間の紛争解決に利用されることはありませんでした。
しかし、N社とK氏の事件において、N社は単なる私企業ではなく、第4の権力と言われるマスメディアの一つです。また、2023年9月にジャニーズの性加害事件の被害者が日弁連に対して人権救済の申し立てをして受理されたこともありました。
そのため、日弁連の同委員会の対応が注目されていましたが、昨年末、K氏の代理人は、申立を取り扱うことはできないという通知を受け取りました。当時、K氏の代理人は、日弁連の決定は人権侵害が存在しないという結論ではないので、引き続き人権救済の方策を検討していくと説明していましたが、今回、N社とK氏は和解に至ったようです。以上
(2026.03)
