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『民事裁判のデジタル化(1)』
東京の3月は温暖な日々が続き、少し早めに桜が開花しました。ただ、弊事務所前の神社の桜の大木が昨年伐採されてしまったので、今年は少し寂しい感じがしています。
さて、今年の課題としてお伝えした民事訴訟手続の全面的なデジタル化が5月21日から施行されます。
これまでは書面で提出されていた訴状や控訴状等がオンラインにより提出可能となります。私共弁護士の場合、オンライン提出が義務づけられているので、現在は改修された「民事裁判書類電子提出システムmints」(ミンツ)の研修真っ盛りです。
もっとも、ミンツ改修版ですが、どうやら来年「TreeeS」(ツリーズ)という新しいシステムに変更されることが既に決まっているそうです。
報道によると、最高裁は民事裁判のデジタル化用のシステムとしてツリーズの開発を進めてきたそうですが、開発期限である2023年10月までに完成できず、2025年2月にはツリーズの導入延期と既存システムであるミンツの改修を決めたとのことです。
他方で、ツリーズも2025年度中には完成するらしく、最高裁としてはできるだけ早期にツリーズの導入を開始したいようです。
しかし、その場合、我々が現在研修を受けているミンツ改修版を実際に利用するのはわずかな期間に過ぎず、再度ツリーズの研修を受けなければならないことになります。
裁判官や書記官にとっても同様の問題ですから、裁判所内では今年5月からのデジタル化は延期して、ツリーズにより本格的なデジタル化を始めればよいという意見もあったようです。しかし、既にデジタル化の予算を確保している最高裁としては、今更デジタル化を延期することはできず、まずはミンツ改修版を使ってデジタル化を始める路線を採用したそうです。
確かに、ミンツ改修版でデジタル化に慣れておき、ツリーズの本格導入に備えるという考え方もあり得ます。しかし、そのためには、民事裁判の関係者全員がミンツ改修版とツリーズという異なるシステムに短期間で対応しなければなりません。それを全国一律一斉に行おうというのですから、大丈夫なのかという懸念が出てきます。
そのため、弁護士の有志グループが、最高裁の方針では民事裁判実務に混乱が生じ、ひいては国民の裁判を受ける権利を侵害するおそれがあるという理由で、昨年9月にデジタル化の延期を求める意見書を衆参法務委員会に所属する国会議員と日本弁護士連合会宛てに送付したそうです。
しかし、今のところ、今年5月からミンツ改修版による全面的なデジタル化を開始するという最高裁の方針はそのまま維持されています。以上
(2026.04)
