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『民事裁判のデジタル化(4)』
6月の東京は台風がきたり梅雨前線が停滞したりと結構な量の雨が降りました。おかげで庭木に水をやる手間は省けましたが、屋外での予定をいくつかキャンセルせざるを得ませんでした。
さて、5月21日から民事訴訟手続のデジタル化が施行されています。訴状や控訴状等も含めてあらゆる民事裁判用の書面がオンラインを経由して提出されています。
例えば、依頼者が被告の場合、デジタル化施行前は、まず依頼者に訴状が書面で送達され、依頼者からその訴状を見せられた弁護士が訴訟を受任し、裁判所に委任状を提出していました。
デジタル化施行後は、まず裁判所の書記官から弁護士に電話が来て、依頼者が訴訟提起されたとの連絡と受任する予定があるかどうかを確認されます。弁護士が訴訟を受任する旨回答して委任状を提出すると「民事裁判書類電子提出システムmints」(ミンツ)を経由して弁護士宛てに訴状が送達されます。
弁護士にとってはミンツで訴状の送達を受ける方が簡単です。しかし、書記官から受任に関する確認の電話が来るということは、訴訟提起前から弁護士が依頼者(被告)を代理しているからです(訴訟提起時点で原告代理人から裁判所に被告代理人に関する情報が伝えられます。)。ところが、交渉時点と訴訟提起時点とでは原告側の請求内容や法律構成が異なることもあります。したがって、訴状の中身を見ずに委任契約を締結して委任状を作成することは、依頼者にとっても弁護士にとっても抵抗感があります。弁護士が直ちに訴訟を受任しなくても、依頼者(被告)宛てに訴状を送達してもらえるので、今のところ従前通りでよいと考えています(私見)。
ところで、予想されていたとおり、各地の裁判所所長らがデジタル化の施行前後一斉に現地の弁護士会を訪問し、施行後は「機動的審理運営」を必要に応じて実施する旨説明したとのことです。
確かに、デジタル化施行後は裁判所の事件記録がデジタル化されるので、裁判官は、WEBを経由すれば、どこの裁判所の裁判を担当することも可能です。
裁判所では、裁判官がWEB経由で他の裁判所の事件を担当することを「機動的審理運営」と呼び、既に一部の支部事件で試行していました。デジタル化施行後は、かかる運営を全面的に展開することにした訳です。
説明を受けた弁護士会側の受け止め方は様々ですが、少なくとも「機動的審理運営」を試行していた支部における評価を慎重に確認する必要があります。特に当該支部の利用者からの情報があればそれを検証した方がよいと思います。
今後「機動的審理運営」が民事訴訟手続の原則的な形態になるなら、裁判所支部への本庁や他の支部の裁判官のてん補(移動・代行)はもとより、裁判所支部・出張所の存続自体も見直される可能性があるからです。以上
(2026.07)
